3月の一日

朝から自転車で行ったり来たりする一日。

家と家の隙間から射す春が近い陽光とか、クリーニング屋の店先とか、橙に燃えて沈む夕焼けとか。何かの花の匂い。子どもが産まれた友人にオムツを送る時の「そんなに漏らすのか」「そうなんだよ」という会話。日が沈んで薄っすらと青みがかかる街並みに軒先の灯りが滲む頃、砂場ではしゃぐ兄妹、コンソメスープの匂い、きっとそろそろ帰るんだろう。ニールヤングの歌声。

今日はまだ一杯も珈琲を飲んでいない。しみじみと思う。「あー、珈琲が飲みたいなぁ」と。自分で作った珈琲は今は遠慮したい。今まで飲んだ色々な美味しい珈琲が頭を過ぎる。

けど自転車のせいで郷愁的な気分だ。家に帰りたい気分だ。風呂にゆっくり浸かってからカレーでも食べたいような。

こういう時に行きたくなるお店は今はもうないお店ばっかりだ。表参道や阿佐ヶ谷だったはずだ。もっと前なら下北沢や国分寺だ。

一体どこに行けばいいんだろうな、と思う。ずっと自分の居場所を探しているみたいだ。

だからとりあえず筋トレすることにする。5kgまとめて買ったプロテインはカフェラテ味だ。死角はない。

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